弁理士試験-不服を申し立てることができない意味

不服を申し立てることができない意味
「不服を申し立てることができない」について – Nao
2018/09/06 (Thu) 01:19:05
 いつもお世話になっております。
 特許法上の「不服を申し立てることができない」の意味内容について酷く混乱しており、うまく理解することができません。どうかご教授ください。
 特許法では、「不服を申し立てることができない」とされている処分として、補正却下の決定(特53条)、特許異議申立てにおける維持決定(特114条⑤)、無効審判請求書の補正許可の決定(特131条の2④)などが対象となっており、これら「不服を申し立てることができない」とされている処分は、行政不服審査法上の審査請求をすることができないとされています(特195条の4)。
 ここで、青本20版 p1568には、「不服を申し立てるとは、行政不服審査法による審査請求、審判の請求、訴えの提起等をいう。」と記載されており、この記載からすると、「不服申し立て」には複数の手段が含まれているように思われます。このため、「不服を申し立てることができない」ならば、いずれの不服申立ての手段も禁じられているように見えます。
 しかしながら、例えば、特許異議申立てにおける「維持決定」を例にとると、異議申立人は、「維持決定」に対して不服がある場合、別途、特許無効審判を請求することができるし、行政事件訴訟法に基づく地方裁判所への訴えの提起もできるように思われます(これを禁じる規定が見当たりません)。すなわち、当該処分については「不服を申し立てることができない」とされているにもかかわらず、審査請求以外の不服申立ての手段が設けられているように見えます。
 特許法上の「不服を申し立てることができない」とは、単に、行政不服審査法による不服申立て(=審査請求)ができないことを意味するものと理解してよろしいでしょうか?そうであれば、条文において、「〇〇の処分については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。」と規定すれば簡単に済む話だと思うのですが、何か含むところがあるのでしょうか?
 長文になりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
Re: 「不服を申し立てることができない」について – とおりすがりです
2018/09/06 (Thu) 16:40:58
また、とおりすがりに回答させて頂きます。管理人様、修正等ありましたらよろしくお願いします。
「不服を申し立てることができない」という規定は、本来不服を申し立てるとしたらするであろう手続ができないという意味だと思います。そして、その手続には、次のように、何通りかのパターンがあります。
補正却下の決定(特53条)※但書は除く
→補正却下決定不服審判(現行法ではそもそもないからできませんが)を請求すべきところ、これができない
特許異議申立てにおける維持決定(特114条⑤)
→審決取消訴訟を提起すべきところ、これができない
無効審判請求書の補正許可の決定(特131条の2④)
→行政不服審査法の審査請求or行政事件訴訟法による取消訴訟をすべきところ、これができない
不服申立てには、一見、複数の手段があるように思われますが、前述したように、それぞれに適切な手段があるので、どれでもよいという意味ではないと思います。
なお、維持決定に不服がある場合に、別途特許無効審判を請求することは、維持決定に対する直接的な不服申し立てではありません。維持決定は確定してしまいます。
また、Naoさんのおっしゃる通り、行政事件訴訟法に基づく地方裁判所への訴えの提起については、これを禁じる規定がないのですが、行政不服審査法による審査請求ができないものについては、できないと解するべきではと、某受験機関の講師から教えていただきました。
以上より、質問に直接お答えするのであれば、
特許法上の「不服を申し立てることができない」とは、単に、行政不服審査法による不服申立て(=審査請求)ができないことを意味するもの、ではありません。
そして、何か含むところとは、最初に述べたように、本来不服を申し立てるとしたらするであろう手続がそれぞれ異なるため、行政不服審査法とは限らないから、このような規定ぶりとしているのです。
Re: 「不服を申し立てることができない」について – Nao
2018/09/07 (Fri) 10:28:00
とおりすがりです様
 
 これ以上ないくらいの明解なご説明をありがとうございました。この関連の問題が出されると半々の確率で落としていましたが、理解することができ、大変うれしく思っております。
Re: 「不服を申し立てることができない」について – 管理人
2018/09/07 (Fri) 12:08:17
とおりすがりです さん
回答へのご協力ありがとうございました。
若干補足させて頂きますと、弁理士試験の上では、補正却下の事例を理解すれば十分かと思います。
つまり、特許法の補正却下は、これに対して直接不服を申したてることができない(意匠のような補正却下決定不服審判がなく、拒絶査定となった場合に限って間接的に不服を申し立てることができる)。、
一方、意匠法の補正却下は、補正却下決定不服審判によって、直接不服を申したてることができます。
なお、不服を申し立てることができないケースで提訴できることをもって、不服を申し立てることができると理解するのは誤りです。
この場合、不服を申したてることが認められないことを理由に却下されます。
実際に、商標登録維持決定取消請求事件では却下されています。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/074/086074_hanrei.pdfく、
Re: 「不服を申し立てることができない」について – Nao
2018/09/07 (Fri) 21:33:53
管理人様
ご回答ありがとうございます。判例のご紹介もありがとうございました。世の中には不思議な人もいるものですね。私には原告が何を言っているのか分かりませんでしたが、不服を申し立てることができないケースでは、訴えが不適法となることが分かりました。ありがとうございました。
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