商標審査基準〔改訂第12版〕について

商標審査基準〔改訂第12版〕について
「商標審査基準〔改訂第12版〕について」(特許庁)
ちょっと古い話ですが商標審査基準が改訂されました。
具体的には、商3条1項各号及び商4条1項6号の書き方が変わっています。
試験的には、標語やキャッチフレーズが条件付きで登録されるようになったことが重要です。
以下、試験的にはポイントと思われる点です(一部改訂含む)。
・自己の業務には、出願人本人の業務に加え出願人の支配下にあると実質的に認められる者の業務(例:出願人がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社の業務、資本提携の関係があり且つ事業活動が事実上出願人の支配下にある会社の業務、出願人がフランチャイズ契約におけるフランチャイザーである場合の加盟店の業務)を含む(審査基準)。
・指定役務に係る業務を行うために国家資格等を有することが義務づけられている場合であって、出願人の名称等から当該業務を行い得る法人又は国家資格等を有している個人であることが確認できない場合、商3条1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないと判断する旨の拒絶理由を通知する(審査基準)。
・普通名称をローマ字又は仮名文字で表示するものは、普通に用いられる方法で表示すると判断するが、 取引者において一般的に使用されていない漢字(当て字)で表示するものは、普通に用いられる方法で表示しないと判断する(審査基準)。
・慣用商標の例:「自動車の部品、付属品」に純正、純正部品、「清酒」に正宗、「カステラ」にオランダ船の図形、「あられ」にかきやま、「宿泊施設の提供」に観光ホテル、「婚礼の執行」につ赤色及び白色の組合せの色彩、葬儀の執行」に黒色及び白色の組合せの色彩、「焼き芋」に石焼き芋の売り声、「屋台における中華そばの提供」に夜鳴きそばのチャルメラの音(審査基準)。
・商品の「産地」等には、国家名(略称、現存国の旧国家名を含む)、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名及び外国の地理的名称を含む)、繁華な商店街(外国の著名な繁華街を含む)及び地図を表示する商標は本号に該当する。国内外の地理的名称には、国家、旧国家、首都、地方、行政区画(都道府県、市町村、特別区)、州都、郡、省、省都、旧国、旧地域、繁華街、観光地(その所在地又は周辺地域を含む)、湖沼、山岳、河川公園を表す名称や地図が含まれる(審査基準)。
・商標が商品の品質/役務の質の表示と判断される例:商品「書籍」について商標「商標法、小説集」、商品「録音済みのコンパクトディスク」について商標「クラシック音楽」、役務「放送番組の制作」について商標「ニュース、音楽番組、バラエティ」、役務「録音済みコンパクトディスクの貸与」について商標「日本民謡集」、役務「映写フィルムの貸与」について商標「サスペンス」(審査基準)。
・商標が、人名等を表示する場合については、商品「録音済みの磁気テープ、録音済みのコンパクトディスク、レコード」について、商標が、需要者に歌手名又は音楽グループ名として広く認識されている場合には、その商品の品質を表示するものと判断する(審査基準)。
・国家名又は行政区画名(例:日本、東京、薩摩、フランス)に業種名(例:工業、製薬、製菓、放送、運輸、生命保険)が結合したものに、更に会社の種類名を表す文字(例:商店、商会、屋、家、社、堂、舎、洋行、協会、研究所、製作所、会、研究会、株式会社、有限会社、相互会社、一般社団法人、K.K.、Co.、Co., Ltd.、Ltd.)を結合してなるものは、他に同一のものが現存しないときはありふれた名称に該当しない。
・極めて簡単且つありふれた標章とは、例えば、数字、1字又は2字のローマ字、2字を「-」で連結したローマ字、1字又は2字に「Co.」、「Ltd.」又は「K.K.」を付したローマ字の、1字の仮名文字、ローマ字の1字の音を表示した仮名文字、商品又は役務の記号又は符号として一般的に使用されるローマ字の2字の音を表示した仮名文字、仮名文字のうち、1桁又は2桁の数字から生ずる音を表示した仮名文字(例:トウエルブ、じゅうに)、3桁の数字から通常生ずる音を表示した仮名文字(例:ファイブハンドレッドアンドテン)、1字のローマ字にその音を仮名文字で併記したもの、1桁又は2桁の数字にそれから生ずる音を併記したもの、1字又は2字のローマ字の前又は後に数字を組み合わせたもの(例:A2、AB2、2A)※ただし、ローマ字の前及び後に数字を組み合わせたものと数字の前及び後にローマ字を組み合わせたもの(例:、A2B、2A5)については、その組み合わせ方が商品又は役務の記号又は符号として一般的に使用されるものに限る、1本の直線、波線、輪郭として一般的に用いられる△、□、○、◇、盾等の図形、球、立方体、直方体、円柱、三角柱等の立体的形状、単音やこれに準ずる極めて短い音商標、である(審査基準)。
・「&」で連結した2字のローマ字、モノグラムで表示した2字のローマ字、ローマ字の2字の音を表示した仮名文字、3桁の数字から生ずる音を表示した仮名文字であって通常生ずる音とは認められないもの(例:ファイブテン)、は原則極めて簡単且つありふれた標章ではない(審査基準)。
・出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、商3条1項6号に該当するが、造語等としても認識できる場合には同号に該当しない(審査基準)。
・商品役務の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識させる事情とは、例えば、①指定商品役務の説明を表すこと、②指定商品役務の特性や優位性を表すこと、③指定役務の品質、特徴を簡潔に表すこと、④商品役務の宣伝広告に一般的に使用される語句からなること、である。また、商品役務の宣伝広告以外を認識させる事情とは、例えば、①指定役務との関係で直接的、具体的な意味合いが認められないこと、②出願人が出願商標を一定期間使用しているのに対し第三者が使用していないこと、である(審査基準)。
・企業理念・経営方針等としてのみ認識させる事情とは、例えば、①企業の特性や優位性を記述すること、②企業理念・経営方針等を表す際に一般的に使用される語句で記述していること、である。また、 企業理念・経営方針等以外を認識させる事情とは、例えば、出願人が出願商標を一定期間使用しているのに対し第三者が使用していないこと、である(審査基準)。
・商慣習上数量を表示する場合に一般的に用いられる表記(例:メートル、グラム、Net、Gross)として認識される場合、現元号として認識される場合(例:平成、HEISEI)、事業者の設立地・事業所の所在地、指定商品の仕向け地・一時保管地若しくは指定役務の提供に際する立ち寄り地(例:港・空港)を表す国内外の地理的名称として認識される場合、小売等役務に該当する役務において、商標が、その取扱商品の産地等を表示するものと認識される場合、模様的に連続反復する図形等により構成されているため、単なる地模様として認識される場合、立体商標について、取り扱い店舗又は事業所の形状にすぎないと認識される場合、店名として多数使用されていることが明らかな場合(例:「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」の、さくら、愛、純、ゆき、ひまわり、蘭、②「茶又はコーヒーを主とする飲食物の提供」の、オリーブ、フレンド、ひまわり、たんぽぽ)、色彩のみからなる商標のうち商3条1項2号及び3号に該当するもの以外、音商標を構成する音の要素及び言語的要素の両方が、①自然音を認識させる音(例:風の吹く音、雷の鳴る音、自然音に似せた人工的な音)、②需要者にクラシック音楽、歌謡曲、オリジナル曲等の楽曲としてのみ認識される音(例:CM等の広告においてBGMとして流されるような楽曲)、③商品又は役務の魅力を向上させるにすぎない音(例:「子供靴」の歩くたびに鳴る『ピヨピヨ』という音)、④需要者の注意を喚起したり、印象付けたり、効果音として使用される音(例:「焼肉のたれ」の広告におけるビールを注ぐ『コポコポ』という効果音、テレビCMの最後に流れる「『ポーン』という需要者の注意を喚起する音、⑤役務の提供の用に供する物が発する音(例:「車両による輸送」の車両の発するエンジン音、「コーヒーの提供」のコーヒー豆をひく音)、は商3条1項6号に該当する(審査基準)。
・国とは日本国をいい、地方公共団体とは、地方自治法1条の3にいう普通地方公共団体(都道府県及び市町村)及び特別地方公共団体(特別区、地方公共団体の組合及び財産区)をいい、これらの機関とは、国については立法、司法、行政の各機関をいい、地方公共団体については、これらに相当する機関をいう(審査基準)。
・公益に関する団体であって営利を目的としないものの例:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律による認定を受けた公益社団法人又は公益財団法人(日本オリンピック委員会)、特別法に基づき設立された社会福祉法人、学校法人、医療法人、宗教法人、特定非営利活動法人、独立行政法人(日本貿易振興機構)など、政党、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会及び日本パラリンピック委員会、キリスト教青年会(審査基準)
・公益に関する事業であって営利を目的としないものの例:地方公共団体や地方公営企業等が行う水道事業、交通事業、ガス事業、国や地方公共団体が実施する事業(施策)、国際オリンピック委員会や日本オリンピック委員会が行う競技大会であるオリンピック、国際パラリンピック委員会や日本パラリンピック委員会が行う競技大会であるパラリンピック(審査基準)
・公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章とは、例えば、国際オリンピック委員会の略称である「IOC」、日本オリンピック委員会の略称である「JOC」である。公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章とは、例えば、国際オリンピック委員会や日本オリンピック委員会が行う競技大会であるオリンピックを表示する標章としての「オリンピック」及び「OLYMPIC」、その俗称としての「『五輪』の文字」、そのシンボルマークとしての「五輪を表した図形(オリンピックシンボル)」、国や地方公共団体が実施する事業(施策)の略称である(審査基準)。
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