弁理士試験-特許を受ける権利と重複出願

特許を受ける権利と重複出願
特許を受ける権利 – こけし
2010/01/19 (Tue) 11:07:38
いつもお世話になっております。
質問です、よろしくお願いします。(受験新報NO,42の問題からです)
使用者P社 従業者甲 
甲のした職務発明A及びB
甲がBについて出願X(明細書A及びB)をした後、P社が発明Aについて出願Yをする場合です。
(予約承継は有効)
発明者同一で29条の2の適用はなし、特許を受けようとする発明が異なるため、39条の適用なし。
Xの公開から6月以内に新規性喪失の例外の適用(意に反する公知)をうけYをすれば、P社は発明Aにつき特許を受け得る。
この場合、解答で、甲の出願Xの放棄又は取り下げが必要とありましたが、必要ないのでは?と思うのです。
それ以外の方法では、発明Aについて特許を受ける権利を甲より承継し、出願人名義変更届を特許庁長官に提出する、とありましたが
何故でしょうか?
出願後の承継は特許庁長官届出が効力発生要件ではありますが、明細書記載の発明についても適用されるのでしょうか?
Re: 特許を受ける権利 – 管理人
2010/01/20 (Wed) 00:25:11
設定が足りない気がしますので、「出願Xの特許請求の範囲に発明Aと発明Bとが記載され、且つ出願Yの特許請求の範囲に発明Aが記載されており、出願Yは発明A及びBの意に反する公開から6月以内に出願された」という前提で回答します。
そうすると、この場合は発明Aが共通するので、特39条1項の拒絶を回避するために出願Xの放棄又は取り下げが必要となります。
なお、出願Xの特許請求の範囲にBのみが記載されているのであれば、特39条の適用はありませんので、P社が発明Aの特許を受けるために出願Xの放棄又は取り下げは不要です。
ところで、発明者自身の行為に起因する公開であれば、意に反する公知には該当しないものと思われます。
また、仮にXの公開が甲及び乙の両者の意に反して公知となったのであれば、新規性喪失の例外の適用を出願と同時に行う必要はありません。
また、(恐らくは出願Yについて)出願人名義変更届を特許庁長官に提出するというのは、特許受ける権利を有していても、出願人を変更するためには当該手続を経なければならないというだけです。
よって、明細書に記載された発明なのか、特許請求の範囲に記載された発明なのかは関係ありません。
なお、出願Xについての話であれば、こけしさんのおっしゃる通り出願人名義変更届は不要です。
Re: 特許を受ける権利 – こけし
2010/01/21 (Thu) 20:35:43
ありがとうございます。
さらに質問です。
新規性喪失の例外規定の適用(意に反する公知の場合)ですが、おそらくこの問題では、
特許を受ける権利をすでに予約承継したP社の意に反し、その後発明者が出願することにより公開された、という状態ですが、
この場合「特許を受ける権利を有する者」は既にP社となっていても、意に反する公知に該当しないのでしょうか?
もうひとつ、問題文で(本試ではこのようなあいまいな記述はないと思いますが)
「明細書に発明A及びBを記載して、発明Bについて出願」と表現されていた場合には、請求の範囲にはBのみ記載、との理解でいいのでしょうか?
Re: 特許を受ける権利 – 管理人
2010/01/21 (Thu) 22:39:53
特許を受ける権利の予約承継が行われたということは、発明者はP社の従業員であると思われます。
であれば、実質的にP社による公開と同視することに問題はないと思われます。
P社の意向に反するとしても、それは内部的な問題であり、対外的にはP社の行為であるという外観を形成するからです。
なお、出願公開による公開なのであれば、特30条1項における主体的に公開したという要件を満たさず、同項の適用がないことを付言しておきます。
また、「発明Bについて出願」とあれば、請求の範囲にBのみが記載されていると読んでも良いと思います。
しかし、他の枝との兼ね合いによっては、「少なくとも発明Bが請求の範囲に記載されている」と解釈すべき場面もあると思います。
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