弁理士試験-出願人名義変更

出願人名義変更
本ブログは独学の弁理士講座の別室です。
なお、本日の本室更新は「お休み」です。
出願人変更 – saru
2009/11/28 (Sat) 12:58:36
意匠法で、登録査定後に出願人の変更(名義人変更
)はできますか?
60条の3には審査、審判、再審に係属している場合に限り、補正することができるとあるので、出願人の変更はできないような気がするのですが。
Re: 出願人変更 – 管理人
2009/11/29 (Sun) 19:58:31
出願人の変更は、出願人名義変更届で行い、手続き補正ではありません。
よって、補正可能期間外である登録査定後にも行うことができます。
Re: 出願人変更 – saru
2009/11/30 (Mon) 13:29:16
早速の御回答ありがとうございます。
ところで、登録後も、「出願人名義変更届」は提出できるのでしょうか?
Re: 出願人変更 – ペンキ
2009/11/30 (Mon) 16:49:18
管理人さんの説明を補足する意味をこめて以下にご質問の趣旨に添えるか分かりませんが、実務面も含めて以下に説明したいと思います。
まず、出願人の変更、追加及び削除は、出願の主体の変更となるので補正は認められません(方式審査便覧21.52)。すなわち、出願人の表示というものを勝手に変えて、主体を変更していゆく補正というのは認めらません。したがって、出願後においても、設定登録後においても、出願人の表示を勝手に変えて、主体を変更する補充訂正は認められないこととなります。
しかしながら、管理人さんが指摘されているように、出願後に正当な承継関係に基づいて届け出るというのは、これは、名義変更届というれっきとした手続が別途設けられていますので、これは補正の問題ではないことになります。出願人名義変更の届出は、権利の所在、変動を公示するとともに、手続の主体を明確にする意義を有します。工業所有権(産業財産権)は、その客体が観念的な無体物であるため、しばしば他人の競業的模倣や冒用が生ずることに見られますように、事実上の占有が不可能である点で、有体物を客体とする所有権とは異なります。しかし、工業所有権に対して法律により人工的に与えられた排他性は極めて強力であり、何人に対しても主張できる点で所有権と同一の性質を持ちますから、民法上の物権法の分野において認められている公示の原則に従い、その権利の所在、変動を外部から明確に認識できるようにしておく必要があります。この趣旨に鑑み、出願人名義変更届の手続が設けられているものと考えます。
因みに、特許(登録)を受ける権利又は、商標登録出願により生じた権利の移転があった場合に、それに伴って出願名義人の変更を行うのが名義変更です。これに対して、出願後に、出願人が氏名(名称)又は住所(居所)を変更し、又は住所(居所)の表示が変更された場合にこれらを届け出るのが表示変更であり、願書に記載した出願人の表示に誤りがあった場合にこれを訂正するのが表示訂正です。
すなわち、名義変更は、出願人の主体に変更があった場合に限りその旨を届け出るものであり、表示変更及び表示訂正は、主体の変更がないことを前提にその表示の変更を届け出、又はその訂正をするものです。
実務上、出願人の名義変更届、氏名(名称)変更届、住所(居所)変更届等は、その事実があった場合、遅滞なくその旨を特許庁長官に届けなければならないことになっています。そして、特許庁では、登録原簿のもつ公示性の見地から、設定登録に当り、現在の正確な権利者の住所(居所)、氏名(名称)を登録しなければならないため、これらの届出については、特許(登録)査定、特許(登録)審決謄本の発送後においても、設定登録料納付と同時まで受理しているようです。
なお、設定登録料納付後に届出たものについては、納付後の届出という理由で却下処分となるようです。したがって、設定登録料納付後については、設定登録の後、移転登録申請書又は登録名義人の表示変更(更正)登録申請書による申請手続をすることとなります(特許登録令21条)。
以上、長い説明となりましたが、特許法をはじめとする工業所有権法は、手続法と実体法が混在したある意味で特殊な法体系となっており、又明治18年の商標条例施行以来、長年に渡る特許庁(特許局)の運用がなされている為に、弁理士や知的財産法を研究している者でもなかなか理解しずらい制度となっております。皆さんの学習と実務に少しでも参考になりば幸いです。
Re: 出願人変更 – 管理人
2009/12/01 (Tue) 14:47:42
ペンキさん
ご解説ありがとうございます。
補足の必要は全くございません。
受験生の方には貴重な情報ですので、今後もお知恵をお貸し頂けると幸いです。
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