商標権の移転に伴う侵害について – 初心の者
2021/10/25 (Mon) 11:14:35
商標権者(甲)が、自己の商標権(商標α、指定商品AとB、AとBは類似商品)を乙に分割移転して、甲は商標権1(商標α、指定商品A)、乙は商標権2(商標α、指定商品B)を保有するケースです。甲が商標権1の専用権の範囲を使用し、これが乙の商標権2の禁止権の範囲の使用となる場合、乙は甲に対して自己の商標権の侵害として訴訟を提起できるのでしょうか?
Re: 商標権の移転に伴う侵害について – 内田浩輔
2021/10/25 (Mon) 15:20:48
類似の商標権を持つ異なった商標権者同士において、一方の者がその登録商標を使用しても、当該他方の者が差止請求等をすることはできません。
よって、乙は甲に対して自己の商標権の侵害として訴訟を提起できません(できても負ける)。
「みんなで創る弁理士試験短答用レジュメ」の商24条の4の箇所をご覧ください。
Re: 商標権の移転に伴う侵害について – 初心の者
2021/10/25 (Mon) 17:35:12
内田浩輔 様
ご解答ありがとうございます。最初の3行目までのご説明で、「差止請求等できない理由・根拠」はどのようなものでしょうか? 何故差止請求できないかが理解できていません。 宜しくお願いします。
Re: 商標権の移転に伴う侵害について – 内田浩輔
2021/10/26 (Tue) 12:39:06
登録商標使用の抗弁(正当権原を有する)ができるからです。
ただし、実務では権利濫用の方が認められそうだと思います。
具体的には、商標権者甲が指定商品Aについて登録商標を使用することを知りながら、指定商品Bに係る商標権を譲り受けた乙が、その使用を差し止めることは、公正な競業秩序を乱すものとして権利の濫用にあたるのではないかと思います。
Re: 商標権の移転に伴う侵害について – 初心の者
2021/11/01 (Mon) 22:35:40
内田浩輔 様
正当権限による抗弁又は権利濫用の抗弁により差止請求できないことが解りました。
追加質問ですが、差止請求できないので、混同防止表示請求が認められる、と理解して良いのでしょうか。
宜しくお願いします。
Re: 商標権の移転に伴う侵害について – 内田浩輔
2021/11/04 (Thu) 12:54:28
混同防止表示請求が認められるのは、差止請求できないというのもあるでしょうが、試験では青本に従って下さい。
つまり、商標権者又は専用使用権者の業務上の信用の保護とともに、需要者の利益の保護を図るために、混同防止表示請求が認められます。
Re: 商標権の移転に伴う侵害について – 初心の者
2021/11/05 (Fri) 17:49:59
内田浩輔 様
ご解答有難うございます。
青本p1600の商標24の4の解説を部分引用しますと(長い引用で申し訳ありません)
「・・二四条の二第一項の規定により分割して移転された結果、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一もしくは類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者によって保有されることとなった場合において、一方の商標権者又は使用権者がその登録商標をその指定商品又は指定役務について使用をし、他方の商標権者又は専用使用権者の業務上の利益を害することとなっても、当該他方の商標権者又は専用使用権者は、差止請求権等の商標権の権利行使をすることができない。そこで、業務上の利益が害されるおそれのあるときには混同防止表示請求を認めることにより、・・・混同を生ずる事態を回避し、その商標権者又は専用使用権者の業務上の信用の保護とともに、需要者の利益の保護を図ることとしたものである。」
以上の引用より、差止請求できないので、混同防止表示請求が認められる、と理解しました。青本に従って試験に臨みます。大変、勉強になり、感謝してます。
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