以下の内容はあくまで管理人の解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。もし、間違いに気付かれた方は、独学の弁理士講座掲示板、又は、メールにてご連絡下さい。
R01年短答著作不競問10
不正競争防止法上の不正競争に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
枝1
1 甲社の従業員である乙は、甲社から貸し出されているUSB メモリのパスワードを、丙に漏洩した。乙の行為は、技術的制限手段に係る不正競争となる。
解答
✕ 不競2条1項17号に定めるように、「指令符号」とは、電子計算機に対する指令をいう(逐条解説 不正競争防止法 第105-106頁)。よって、USB メモリのパスワードは、指令符号とはならず、その漏洩も不正競争とはならない。https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/20181129chikujyokaisetsur.pdf
枝2
2 甲社は、イギリスの国旗を印刷したハンカチを日本において製造し、日本製であることを明確に示したタグを付けて販売している。甲社の行為は、原産地の誤認の惹起に係る不正競争となる。
解答
✕ 「誤認させるような表示」に該当するかどうかは、個別・具体の事案に応じて、当該表示の内容や取引界の実情等、諸般の事情が考慮された上で、取引者・需要者に誤認を生じさせるおそれがあるかどうかという観点から判断される(逐条解説 不正競争防止法 第125頁)。本枝においては、日本製であることを明確に示したタグを付けていることから、誤認が生じないということになると思われるので、不競2条1項14号の誤認惹起行為には該当しない。
枝3
3 甲社は、電気用品安全法所定の検査を受けていない電子ブレーカに、同法の規定する技術基準に適合している旨同法所定の適合検査で証明されたことを示す表示であるPSE表示を付して、販売を行っている。甲社の行為は、品質の誤認の惹起に係る不正競争となる。
解答
◯ 不競2条1項14号の誤認惹起行為に関して、PSE表示は、電気用品安全法の規定する技術基準に適合している旨同法所定の適合検査で証明されたことを示し、電子ブレーカにとって「品質」に関する表示に該当する。そのため、電気用品安全法所定の検査を受けていない電子ブレーカに付した PSE表示は、その品質を誤認させる(逐条解説 不正競争防止法 第124頁)。よって、<甲社の行為は不正競争となる。
枝4
4 甲社は、その社長である乙の丙社に対する個人的な恨みから、競争関係の存在しない丙社の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布し、丙社は営業上の利益を侵害された。甲社の行為は、信用の毀損に係る不正競争となる。
解答
✕ 不競2条1項15号の信用毀損行為は、競争関係が存在しない相手については適用されない(逐条解説 不正競争防止法 第129頁)。よって、不正競争とはならない。
枝5
5 スマートフォンを製造販売する甲社は、客観的な事実に基づき、競合他社である乙社の製造販売するスマートフォンと比較して、その性能や品質について甲社の製品がより優れていることを内容とした比較広告を雑誌に掲載した。これにより、乙社のスマートフォンの売上げが減少した。甲社の行為は、信用の毀損に係る不正競争となる。
解答
✕ 不競2条1項15号の信用毀損行為における「虚偽の事実」とは、客観的真実に反する事実のことである(逐条解説 不正競争防止法 第90頁)。よって、客観的な事実に基づけば、不正競争とならない。
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