ニュース-喜多方ラーメンは本当に有名すぎるのか?

喜多方ラーメンは本当に有名すぎるのか?
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喜多方ラーメン登録認めず 地域団体商標で知財高裁 有名になりすぎ厳しい?(産経ニュース)
喜多方ラーメンの地域団体商標に係る出願が認めらなかった事件で、
知財高裁は、原告である「喜多方老麺会」の請求を棄却した。
つまり、喜多方ラーメンの商標登録は認められなかったわけだ。
記事中、
「有名すぎて一般名称化している場合、特定の団体に商標権を認めると、他の人の商売に支障が出る可能性がある」〔引用ママ〕
と、その原因を指摘しているが・・・
正確性に欠けるのでは無かろうか?
とういわけで判決文を読んでみよう。
平成21年(行ケ)第10433号
特許庁での審決の理由は、
『「本願商標は,これが使用をされた結果原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして,例えば,福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間に広く認識されているものということはできない。」「したがって,本願商標は,7条の2第1項の要件を具備しないものであるから,これを理由に本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。」』
で、裁判所もこれを追認している。
つまり、喜多方らーめん=喜多方老麺会といえるほど、
有名ではない
から拒絶されているわけだ。
ではなんで、有名ではないと認定されたのか?
①喜多方ラーメンの表示を使用しているラーメン店だけに限定して原告の構成員のラーメン店の割合を考えたとしても,59%程度(6割弱)にとどまっていた。
②全国的に知られる有力な喜多方市内のラーメン店が原告に加入していない。
③喜多方市外,とりわけ喜多方市から遠隔する東京都内などの需要者及び取引者においては,「喜多方ラーメン」の表示ないし名称と,本願商標の指定役務たる「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」との結び付きは相当程度希薄化している。
④喜多方市内のラーメン店のうちには,「蔵のまち喜多方老麺会」の法人化すなわち原告の設立に反対であるという理由や,加入してもメリットがない程度の理由で原告に加入していないものが存する。
つまり、全国(or関東地方)で有名なお店が入っておらず、
また、今後加入する可能性も低い。
だから、喜多方らーめん=喜多方老麺会といえるほど有名ではない
というわけだ。
ここで注意が必要なのは、「全国的」に有名である必要はないということ。
福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間において、
喜多方老麺会が本商標の使用者として有名であれば良いのだ。
そういう意味では、関東での知名度を考慮するのはいささか広すぎる感がある。
結局、「有名店に加入してもらってから出直してね♪」
ということであろう。
ただ、「喜多方市における非構成員のラーメン店のすべてが原告による上記出願に賛同している」
という事情があるにも関わらず・・・というのはいただけない。
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なお、本日の本室更新は「商標法68条の29」です。
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コメント

  1. ニュース-喜多方ラーメンは本当に有名すぎるのか?

    ニュース-喜多方ラーメンは本当に有名すぎるのか?
    この記事中で記載しましたが、判決では、以下のように述べて、希薄化を問題にしています。
    「そうすると,少なくとも喜多方市外,とりわけ喜多方市から遠隔…

  2. 判例 update より:

    【商標権:審決取消請求事件(行政訴訟)/知財高裁/平22・11・15/平21(行ケ)10433】原告:協同組合蔵のまち喜多方老麺会/被告:特許庁長官

    事案の概要(by Bot): 本件訴訟は,地域団体商標としての下記本願商標の登録出願の拒絶査定を不服とする審判請求を成り立たないとした審決の取消訴訟である。争点は,本願商標がその指定役務に使用された結果,出願人である原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するも…

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