ニュース-訂正審判の一部認容審決は定着するのか?

訂正審判の一部認容審決は定着するのか?
審決取消当事者参加事件:平成20年(行ケ)第10456号(裁判所HP)
この事件の注目ポイントは、
「複数の請求項について訂正を求める訂正審判において、一部の訂正要件のみを判断して審決を下すことが許されるか否か。」
である。
先に言っておくと、
この事件は結局上記点については判示せず、
ある意味従来(最高裁昭和53年(行ツ)第27号・28号民集34巻3号431頁)通り、
「(訂正)請求人において訂正審判請求書の補正をしたうえ右複数の訂正箇所のうちの一部の箇所についての訂正を求める趣旨を特に明示したときは、訂正審判請求において可分的取扱いが許される」
旨を判示しているに過ぎない。
ただ、後述の最高裁判例も含めて、
訂正審判での戦略の幅が広がったとは言える。
訂正審判においても
「一部の箇所についての訂正を求める趣旨を特に明示」すれば、
可分的に取り扱われる可能性が出てきたわけであり、
従属項の訂正要件違反で独立項の訂正が否認されるリスクを、
大きく減らせる可能性がある。
なお、本件判決で付言して、
「訂正不可分を主張する特許庁の見解を否定し、改善多項制の法改正がなされた後においてはこれ
を可分と解するとしたものである。」
と述べているのは、
異議事件に限定しているとはいえ、
今後の司法判断及び法改正に期待が持てる。
ちなみに、これに先立つ最高裁判所判決(平成19年(行ヒ)318号)では、
『複数の請求項について訂正を求める訂正審判請求は、複数の請求項に係る特許出願の手続と同様、その全体を一体不可分のものとして取り扱うことが予定されているといえる。』
と述べており、
特許庁もこの立場で審決をしているし、
それは、今後も変わらないと思われる。
で本題。
最近出た関連判決が別の意味で面白いのだ。
特許取消決定取消請求当事者参加事件:平成21年(行ケ)第10249号(裁判所HP)
「当事者参加人は、主文第1項と同旨の判決を求め、請求原因として別紙のとおり述べた。
被告は、請求棄却の判決を求め、請求原因は争わないと述べた。
上記争いのない事実によれば、当事者参加人の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用につき民訴法62条を適用して、主文のとおり判決する。」
以上。
これだけ。
それに、
「被告(特許庁)は、請求棄却の判決を求め、請求原因は争わないと述べた。」
請求棄却の判決を求めつつ、
請求原因は争わないって、どんな状況だよ。
【関連記事】
H19年(行ヒ)318に関する質問

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