商8条3項の審決の意味
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51条2項と拒絶理由の関係 – オレンジ
2010/11/02 (Tue) 13:13:51
商標法8条3項は次のようなかっこの内容のような理解でいいのでしょうか。→「商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について(拒絶)査定若しくは(拒絶・無効・50条、51条、52条の2,53条による)審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。」
また、これに関連しますが、51条2項、52条の2第2項、53条2項は17条において拒絶理由となっていますが、この拒絶理由は「審決確定後(先願の地位がなくなるため、再出願は登録できる。但し、5年以内の出願は拒絶される」という解釈なのでしょうか。
Re: 51条2項と拒絶理由の関係 – 管理人
2010/11/08 (Mon) 12:55:11
一つ目のご質問は、明確な答えを持ち合わせておりません。
網野説によると、商8条3項の「商標登録出願について査定若しくは審決が確定したとき」とは、拒絶査定又は審決の確定を意味すると解され、これが妥当であると思います。
なお、私見では、「商標登録出願について」とあるため、登録後に生じる無効・取消審決は含まれないと解しています。
ただし、このように解すると、無効・取消が確定した商標に先願の地位が存続してしまい、妥当ではありません。
そのため、商8条3項とは別に、商標法における先願主義の趣旨からして無効・取消に係る商標権は先願の地位を有さないと解しています。
詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
二つ目のご質問は、商15条に関してのご質問ということでよろしいでしょうか?
であるならば、この部分は単純に、商標権者であつた者がその登録商標等を出願しても、取消審決確定日から5年以内であれば出願が拒絶されるというだけです。
つまり、上記の通り取消審決確定により先願の地位がなくなっているため、他の者であれば5年以内であっても、商4条1項13号に反しない限り登録を受けられます。
Re: 51条2項と拒絶理由の関係 – saru
2010/11/09 (Tue) 10:58:46
>そのため、商8条3項とは別に、商標法における先願主義の
>趣旨からして無効・取消に係る商標権は先願の地位を有さ
>ないと解しています。
更新せずに存続期間が満了した場合や商標権を放棄した場合も先願の地位を有さないと思います(商標選択の余地を狭めないようにするためという趣旨から)。
この場合、「商標登録出願について査定若しくは審決が確定したとき」の査定・審決は、「登録査定・登録審決」であると解釈できます。
したがって、「商標登録出願について査定若しくは審決が確定したとき」の査定・審決は、条文通り登録および拒絶の両方を含む(つまり、査定若しくは審決が確定した出願は先願の地位がない)が、後願先登録を排除するため、商標権が存続している間は、先願の地位を有すると思います。
Re: 51条2項と拒絶理由の関係 – 管理人
2010/11/09 (Tue) 12:34:18
saruさん
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り見解が複数あり、学説も割れています。
なお、著名な網野先生の説だと、「商標登録出願について査定若しくは審決が確定したとき」とは、拒絶査定又は審決の確定を意味すると解される」です。
Re: 51条2項と拒絶理由の関係 – オレンジ
2010/11/10 (Wed) 12:58:41
皆様よく分かりました.有り難うございました。
弁理士10000人になると合格者数が減るとのコメントがありましたが、結構ショックですね。
Re: 51条2項と拒絶理由の関係 – BOND
2010/11/30 (Tue) 11:43:08
特許法では、無効審判の無効審決が確定しても、先願の地位はあると理解していますが、商標法では、無効審判の無効審決が確定すれば、先願の地位はなくなるのでしょうか?
Re: 51条2項と拒絶理由の関係 – saru
2010/12/01 (Wed) 13:27:22
商標法では、4条1項13号の規定の存在から、無効審決の確定に限らず商標権が消滅した場合には、先願の地位は存在しないと解されます。商標権の消滅後も先願の地位を有すると解すると、その後出願しても8条1項により登録されないからです。
また、4条1項11号の拒絶理由に対し、他人の先願商標権を消滅させるという措置をとることができるということからも、明らかです。
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