大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる?

大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる?
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7/28追記
『半導体エネルギー研究所の特許戦略は、日立とは異なる特許戦略ですが間違っているわけではありません。
このブログでは、メーカーである日立の特許戦略を、非メーカーである半導体エネルギー研究所の特許戦略に基づいて評価することが間違っていると指摘しています。
つまり、他社に実施させない特許戦略を、他社に実施させる特許戦略に基づいて「ぬるい」と評価するのはおかしいと指摘しています。
(※日立の特許戦略に「他社に実施させて利益を得る」という戦略が足りないので「ぬるい」という指摘であれば、一面では正しい指摘といえるかもしれません。)』
大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる(JBPRESS)
この記事を簡単に説明すると、
「日本の大手メーカーは、特許を権利行使して利益を獲得するのに適した特許の明細書となっておらず、特許戦略が低レベルである」
というものだ。
一面としては正しい。
だが、根本的に間違った指摘だと思う。
ご存じの通り、特許の機能としては、
独占的に実施するための盾の機能と、
他社の実施を排除するための矛の機能とがある。
記事においては、盾として取得した特許を、
矛としての視点から評価している点で根本的におかしいように感じる。
「この盾は、攻撃力がない」
と、言っているようなものだ。
具体的に、この記事は、電機業界で特に有名な半導体エネルギー研究所と日立とを比較した記事である。
で、筆者は、日立のA級特許が半導体エネルギー研究所ではゴミだったことに驚いているわけだが・・・
これは、日立の特許戦略が低レベルであることに起因するものではない。
そもそも、日立はメーカーである。
その特許戦略として、最低限自社実施を確保(独占的実施の確保)する必要がある。
そのため、そういう特許もA級というランク付けがなされるのは自然である。
また、独占的に実施できているということは、他社が特許侵害をしていないわけで、
当然に、「特許を権利行使して利益を獲得する」なんてことはできない。
これでも、自社実施を確保しているという点で、
十分に特許の盾としての役割を果たしているわけだ。
これとは逆に、半導体エネルギー研究所では他社実施を確保する必要がある。
そのため、他社が実施するような内容の特許を出願するわけで、
当然に、自社が実施しないような特許を出願することも多くなる。
(というか、半導体エネルギー研究所は実施しない)
そのため、他社が実施しない特許(自社実施のみの特許)はゴミとなるのだ。
この記事は続くようだが、
この視点が欠けているようでは、
「特許の才能はない」と指摘されても止むを得ないかなぁと思う。
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コメント

  1. アバターSEL万歳 より:

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    > そもそも、日立はメーカーである。
    > その特許戦略として、最低限自社実施を確保(独占的実施の確保)する必要がある。
    どこにそんなことが”大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる(JBPRESS)”の記事に書いてあるんですか?
    > 独占的に実施できているということは、他社が特許侵害をしていないわけで、
    そんなこと全然言えませんよね。利用発明をご存知ないんですか?
    そもそも半導体エネルギー研究所も研究開発のための投資をしているわけで
    研究開発に投資した費用を権利行使で回収することのどこが悪いんですかね。

  2. アバタードクガク より:

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    SEL万歳さん
    どうやら何か勘違いをされているようですので、以下ご指摘いたします。
    > > そもそも、日立はメーカーである。
    > > その特許戦略として、最低限自社実施を確保(独占的実施の確保)する必要がある。
    >
    > どこにそんなことが”大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる(JBPRESS)”の記事に書いてあるんですか?
    まさしくおっしゃる通りで、この部分が記事に書いてないのが問題です。
    この記事では、日立にとっての「特許を取得する理由」について検討していなように読めます。
    この大前提の部分を検討しないのでは、特許戦略を評価することはできません。
    > > 独占的に実施できているということは、他社が特許侵害をしていないわけで、
    >
    > そんなこと全然言えませんよね。利用発明をご存知ないんですか?
    何をおっしゃりたいのかさっぱりわかりませんが、他社が「利用発明」を実施しているということは、他社が特許技術を利用(実施)しているわけですから、独占的に実施できていない状態となります。
    よって、(業界の方にわざわざ説明するのはおかしいのですが)「独占的に実施できている」というのは、他社が利用発明も実施していない(他社が特許侵害をしていない)状態を意味します。
    > そもそも半導体エネルギー研究所も研究開発のための投資をしているわけで
    > 研究開発に投資した費用を権利行使で回収することのどこが悪いんですかね。
    「研究開発に投資した費用を権利行使で回収することが悪い」なんてことが、”大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる?”のブログ記事のどこに書いてあるんですか?

  3. アバターsatake より:

    SECRET: 0
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    ドクガクさん
    いつも拝見しています。
    この件、twitter上での反応をTogetterでまとめています。このブログ記事のツイートもまとめに含めていますのでご報告します。
    ● JBPress掲載、湯之上 隆氏による「大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる」半導体エネルギー研究所の特許戦略記事に対する反応まとめ
    http://togetter.com/li/167408
    各人の反応を俯瞰的に観察することを目的としたまとめ、と捉えていただければ幸いです。
    ブログ記事の論旨とはまた別の視点になりますが、元記事は閲覧数がJBPressのランキング1位になるなど注目を集めたことは間違いないですね。
    特許に関する話題提供になったと思います。

  4. アバターSEL万歳 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > よって、(業界の方にわざわざ説明するのはおかしいのですが)「独占的に実施できている」というのは、他社が利用発明も実施していない(他社が特許侵害をしていない)状態を意味します。
    まったく意味不明です。日立がA(最重要、戦略特許、国際出願)、B(重要、国際出願)と判断したならば、他社が利用発明を実施していないということが
    どうして言えるのですか?日立がすべての他社特許を継続して分析して
    確かに他社に利用発明の特許が成立していないということを
    確認しているのですか?もしかして、日立の特許はものすごく
    狭い技術範囲だったり回避が容易だったりするので
    利用発明をとるまでもなかったりするのではないですか?

  5. アバタードクガク より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    SEL万歳さん
    再度ご訪問頂いたようで、ありがとうございます。
    こういうコメントを頂いた場合、私のコメントに返事を返してくれないことが多いので少し驚いています。
    というわけで、以下疑問に回答させて頂きます。
    > 日立がA(最重要、戦略特許、国際出願)、B(重要、国際出願)と判断したならば、他社が利用発明を実施していないということがどうして言えるのですか?
    まず、こんなことを私は言っていません。
    (なお、「日立がA、Bと判断したならば、他社が利用発明を実施していない」なんて言えません。)
    私の記事をより分かりやすく説明すると『日立が独占的実施を望む場合、他社が利用発明を実施している(同時に日立の特許発明を実施している)ならば、他社の利用発明の実施を差し止めるというのが日立の特許戦略と考えられる』ということです。
    もしかしたらSEL万歳さんはご存じないかもしれませんが、利用発明を実施した場合、利用する基礎発明を同時に実施することになります。
    そのため、他社の利用発明の実施を差し止めることが可能となり、独占的実施を望むメーカーであれば他社の利用発明の実施を差し止めるのが自然であると考えます。
    つまり、私の記事では、独占的に実施するために他社に(利用発明を含めた)特許発明の実施をさせないという特許戦略を採るであろうと言っているわけです。
    ご理解いただけたでしょうか?

  6. アバターぺこりん より:

    SECRET: 0
    PASS: 320c04e4df91cec22dc893b45eeb8372
    個人的には、SELに比べればほぼ全ての日本企業の特許戦略など赤子同然だと思います。理由は簡単で、SELは特許がなければ倒産ですが、他の企業では生産設備もあるので企業全体の収益のウェイトとしては知財部門の価値が相対的に低いので、結局意識が低いからだと思われます(私も大手企業の知財部員ですが)。
    あと、特許に求められる質といった点では、
    お金を払わせられる特許の質 >>> 事業を守るための特許の質
    ですね。無効だったり、甘かったり、不明瞭なクレームでもたくさん特許があれば結果として事業が守れちゃったりします(複雑なポートフォリオがあれば参入は躊躇します)。でも、いざお金を払わせようとするとなると、侵害特定可能で有効性の高い数件が重要になるわけです。しかもクレーム解釈で揉める特許は弁護士費用が嵩むので「お金を払わせられる特許」のハードルはグンと高いです。
    SELは当然、ものづくりの事業がないので特許は全件「お金を払わせられる特許の質」でないと意味がないので、知財部員の意識としては大手メーカーとは全然異次元の世界かと思われます。

  7. アバタードクガク より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ぺこりんさん
    コメントありがとうございます。
    ご指摘は非常に正しいと思います。
    ただ、SELには不要な戦略で他の企業には必要な戦略がかなりあり、且つ、他の企業では両方が関連しているので、単純には比較できないように思っています。
    ところで、
    > お金を払わせられる特許の質 >>> 事業を守るための特許の質
    というのは、確かにそうです。
    といっても、事業を守るための特許とお金を払わせられる特許とは目的が異なるので、「お金を払わせられる特許」で事業を守ることができるわけではない、ということもできますよね。
    単純に、お金を取れる特許=質の高い特許と言えれば、特許の価値評価も多少は楽なんですけどねぇ。

  8. アバターst400 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    いつも拝見しております。小職も企業内弁理士です。
    本記事及びコメントを興味深く拝見致しました。各企業によって状況も全く異なるため、いずれの立場(視点)でみるかの違いですよね。そういう意味で、双方(SELも日立)とも正しいのだと思います。
    なので、個人的には、一律に(且つ断定的に)他社(の特許戦略)を批判するのは、ちょっとどうかな・・・と思います。ドクガクさんのご指摘はごもっともかなと。あくまでも「当社(SEL)では」という枕詞をつけてこういう特許は不要との結論で終わるのであれば、違和感は無いのですが、そこから続けて日立の特許戦略や意識にまで言及するのは行き過ぎかなと思いますね。
    小職は複数の化学系メーカーに勤めてきましたが、
    そういう意味では、「お金を払わせられる特許の質 >>> 事業を守るための特許の質」というのも、大手”電機系”メーカー等であればその通りかと思いますが、一方で化学系メーカー(製薬除く)では、一概にそうとは言えないと思います。
    これは、対象物が目に見えるか否か(特定のし易さ)に起因するものかなと。基本方針として、化学系メーカーでは、自社実施を最低限防衛するとのスタンスを取っている企業も少なくないように思います。

  9. アバタードクガク より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    st400さん
    いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
    > 小職は複数の化学系メーカーに勤めてきましたが、
    > そういう意味では、「お金を払わせられる特許の質 >>> 事業を守るための特許の質」というのも、大手”電機系”メーカー等であればその通りかと思いますが、一方で化学系メーカー(製薬除く)では、一概にそうとは言えないと思います。
    > これは、対象物が目に見えるか否か(特定のし易さ)に起因するものかなと。基本方針として、化学系メーカーでは、自社実施を最低限防衛するとのスタンスを取っている企業も少なくないように思います。
    ↑とのことですが、私自身化学系の就業経験がなかったもので、全く思い至りませんでした。
    確かに化学系については、おっしゃる通りだと思います。
    また、出願数が少ない企業についても、同じことがいえるかもしれません。
    ご指摘ありがとうございます。

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