米国101条拒絶に対する応答を先延ばしにするパイロットプログラムが施行

ニュース
特許法 独学 チワワ

米国特許出願に対してオフィスアクション(OA)が通知された際に、101条(特許適格性)不備の拒絶理由が通知された場合に、当該拒絶理由に対する応答を先延ばしにできるパイロットプログラムが施行されるようです。
101条拒絶への応答繰延パイロットプログラム

Alice判決のあと、ソフトウェア発明やコンピュータを用いたシステムの発明については、司法例外(特に抽象的アイディア)に当たるとして、特許適格性がなく101条に反するとして拒絶される事例が多発しました。その後、2019年10月には101条(特許適格性)審査ガイダンスが発表され、過剰に拒絶されることがないように、一応は審査実務が修正されていますが、まだまだ少なくはありません。

そんなわけで、今回の パイロットプログラム は、実質的な拒絶理由ではない101条に対する応答を先延ばしにして、新規性・進歩性(非自明性)等の拒絶理由に先に対処できる点で利用価値がありそうです。ただし、101条拒絶のみが通知されているOAには適用されず、また パイロットプログラムに参加している審査官が担当している案件のみが対象となります。

具体的には、①最初のOAにおいて、101 条の拒絶理由及び他の拒絶理由と共に、パイロットプログラムに参加するか否かの問い合わせが発せられる
②パイロットプログラムに参加する場合には、所定のフォーム(PTO/SB/456)を提出し、101条の拒絶に対する応答を先延ばしする(実務的には米国代理人へパイロットプログラムへ参加する旨を指示することになるかと思います)
③出願の最終処分(例えば許可通知、ファイナルOA、審判、継続審査請求)まで、又は他の拒絶が全て解消するまで、応答を先延ばしできる

なお、プログラムの施行期間は、2022年2⽉1⽇〜2022年7⽉30⽇であり、 分割出願及び継続出願は対象外だそうです。また、米国特許庁に対して支払う手数料はないようです。
米国実務においては、司法上の例外を越えるような有意義な追加の構成要件(significantly more)を含むこと、すなわち、発明概念(inventive concept)を含むことを主張することで101条の拒絶理由が解消するがあります。この場合、新規性・進歩性があれば101条の拒絶理由が解消するとも言えますので、そのような観点から意義のあるプログラムとなっています。

にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へPVアクセスランキング にほんブログ村クリックに感謝します

コメント

タイトルとURLをコピーしました