専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求-弁理士試験

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特許法 独学 チワワ

専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求について – どらちゃん
2021/01/04 (Mon) 14:17:46
某資格スクールで「専用実施権設定後に、特許権者は差止請求と損害賠償請求ができる」とさらっと習ったのですが、平成24年の論文過去問(2)のTACの模範解答を見てみると、損害賠償請求について、「原則として認められないが、専用実施権者から得られる実施料が減少している場合は認められる」とあり混乱しております。ご意見をお聞かせ願えますでしょうか。

Re: 専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求について – Let’s Go!!
2021/01/07 (Thu) 13:54:00
同じ受験生ですが、ご質問は、ごく基本的な内容と思いますので、暫定的に意見を述べます。

まず、特許権や専用実施権は「物権的権利」と言われています(物権は民法で10種類が定義されているので、勝手に「物権」にはできないので「的」をつけていますが、性質はほぼ同じということです)。
68条、77条2項で「業として特許発明の実施をする権利を専有する」のようにありますが、
「専有する」なので、独占排他性があります。

68条の但し書きにあるように、専用実施権を設定すると、特許権者が持っている権利が専用実施権者に移った形となります(特許権者には実施の権利がなくなる)。

従って、原則としては、専用実施権者には、差止請求権等がなくなったようになるのですが、
最高裁判例(リガンド分子事件)で、
特許権者にも、100条の条文や、損害発生等があり得るということから、差止請求が認められています。

損害賠償請求は「損害が発生しているなら認める」原則からその可否が決まり、
68条但し書きの場合の特許権者には「実施権がないのだから、損害もない」と断言できないケースがあり、認められるということです。

ランニングロイヤリティ契約を特許権者と専用実施権者がしている場合は、侵害者の行為により、特許権者にも実害が発生する場合は、
特許権者がしゃしゃり出て、侵害者に対して「おい、やめろよ」「発生した損害の賠償を請求する」とできるわけです。

詳しくは、先の学習過程で繰り返し学ぶはずです。

Re: 専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求について – どらちゃん
2021/01/08 (Fri) 03:16:16
Let’s Go!!様

ご回答くださりありがとうございます。
確かに論理的に考えるとそうですね。授業で教わったことをただ丸呑みにしていたので混乱していました。今後は背景も含めてしっかり理解していこうと思います。

Re: 専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求について – Let’s Go!!
2021/01/08 (Fri) 11:03:43
>原則としては、専用実施権者には、差止請求権等がなくなったようになるのですが、

は、間違いで、以下です。

>原則としては、特許権者には、差止請求権等がなくなったようになるのですが、

Re: 専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求について – 管理人
2021/01/08 (Fri) 12:48:38
Let’s Go!!さん
ご協力ありがとうございます。

さて、ご質問の件ですが、「特許権者は,その特許権について専用実施権を設定したときであっても,当該特許権に基づく差止請求権を行使することができる」が正しいです。

最高裁平成16(受)997によれば、特許権者が自ら特許発明を実施しようとする際に不利益を被る可能性があることなどを理由に「特許法100条1項の文言上,専用実施権を設定した特許権者による差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。」と明言されています。

一方、損害賠償請求権については、特許権者が特許発明を実施していることは適用要件ではなく、侵害行為がなかったら利益が得られたという事情が存在する場合には、特許権者の行為が特2条3項の実施に当たるか否かにかかわらず適用できます(大合議H24(ネ)10015号)。
例えば、ライセンス収入の減少等ですね。

Re: 専用実施権設定後の特許権者による損害賠償請求について – どらちゃん
2021/01/08 (Fri) 13:26:56
管理人様

いつも分かりやすく丁寧なご回答をくださりありがとうございます!

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コメント

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