勤務弁理士で年収1千万になる方法

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私が弁理士を目指したのはおよそ20年前のことで、当時は小泉首相が打ち出した知財立国の国家戦略や、ビジネスモデル特許ブームで弁理士の価値が高く、弁理士報酬額表が廃止されて競争業界になったとはいえ、資格取得をすれば年収1千万は確実と評価されていました。

現在は、ご存知の通り出願件数+単価の減少が著しく、私の予測が正しければ特許事務所勤務者で平均770万円程度と思われます。そういう状況では、通常の出願権利化業務をこなして経験を積んだとしも、業界歴10年程度で年収1千万に到達に到達するのは難しい環境と言えます。

ところで、勤務弁理士で年収1千万ということは、売上2.5~3千万が必要になります。これは、大手の事務所だと売上の3割、中規模で売上の4割が給与となる例が多いからです。というわけで、以下では特許事務所の勤務弁理士が売上2.5千万の目標を達成する具体的な方法について考えてみます。

出願権利化で稼ぐ

出願だけで目標売上を達成する場合、出願の平均単価が20万/1件とすると、年間125件程度の出願が必要となります。実際には、権利化業務(中間処理)もあるので、出願同時審査請求+拒絶理由通知1回(又は一発特許査定後分割)があるとして、1件の出願権利化の仮想売上を25万円とします。このように仮定すると年間100件の出願が必要となります。

電気(ソフトウェア)・機械分野では図面作成が実質的に必須であるため、1件の処理時間がどうしても長くなってしまいます。そのため、年間100件の出願をするとなると、化学分野を選ぶのが望ましいと思います。もちろん、電気・機械分野において年間100件の出願をすることは不可能でありませんが、相当きつい作業となります。なお、実際には化学分野の出願単価は電気・機械分野程は低くないとも聞いていますので、目標達成に要する年間出願件数は、もっと少なくともよいかもしれません。

このように、国内の出願権利化業務で年収1千万を稼ぐならば、化学分野を担当することが考えられます。ただし、化学分野、特に医薬系は企業内での内製化が進んでいるととともに、明細書作成の自動化(AIの活用)が進みやすいとも言われています。そのため、「2020年頃の状況では」という注釈が付くことにご留意ください。

外国出願で稼ぐ

外国出願は件数が少ないですが、国内出願とは売上が段違いに高くなります(さっき計算してみたら、ある時期の売上では出願1件の単価で2.2~2.3倍の差がありました)。そこで、単純に外国出願だけで目標売上を達成する場合、出願の平均単価が44万/1件としても、年間57件程度の出願で足ります。実際には、権利化業務(中間処理)もあるので、目標売上を達成するために必要な出願の件数はもっと少なくなります。

なお、実際には、外国出願を担当する場合、その基礎となる国内出願を担当するのが前提です。そのため、国内から外国までの売り上げで考えると、出願1件の売り上げはより高くなります。また、仮に国内担当が別にいる場合であっても、外国出願単独の処理時間は段違いに短くなりますので、時間当たりの売り上げは高くなります。

このように、電気・機械分野で年収1千万を稼ぐならば、外国出願を担当することが考えられます。ただし、英語力が必要になることに加えて、大事務所又は企業などの、ある程度数の外国出願を扱う職場に所属する必要があります。ちなみに、現地代理のコメントが入手できる環境であれば、外国中間対応の経験がなくとも中間処理は可能です。もちろん、豊富な経験があることが望ましいですが。

蛇足

昨今では、所謂専権業務以外(例えば知財コンサルや訴訟)に活路を見出すという話もあり、私もこれは正論であると思います。例えば、私の場合だと、多い時期で専権業務以外の売り上げが年800万程度でした。専権業務でなければ、事務所のリソースを消費しないので、売上のより多くの部分を給与に反映させることが期待できます。しかし、医者が医療業務では食っていけないと言うのがおかしいように、専権が認められる専門家が、専権業務だけでは生活が成り立たないといのは、いびつな状況に感じます。

なお、退職金等の福利厚生がない場合には、年収1千万でも事務所勤務弁理士の待遇がよいとは言えず、また、定年が無いにしても再雇用の場合には年収が落ちます。事務所勤務弁理士で年収1千万というのは、目標としてはよいとしても、それが妥当であるかは疑問です。また、年収と実力は違うので、年収が高いからといって実務能力が優れているわけではないのは、言うまでもありません。年収にとらわれずに、職人としての腕を磨くという路もあると思います。

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コメント

  1. アバター受験生 より:

    想到きつい→相当きついの誤記のようです…

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