新規事項の削除は目的外補正となる
審判請求の審理に関するQ&A「拒絶査定不服審判」
上のQ9によると、審判請求時の補正で、その新規事項を削除する補正は目的外補正、つまり、特17条の2第5項各号のいずれにも該当しないそうです。※1
そのため、補正却下されることも当然あり得ます。
実際、訴訟でも審判で通知された最後の拒絶理由通知に対する補正が、目的外補正として補正却下した決定が認められています。
例えば、平成23年(行ケ)第10133号です。
で、「特許・実用新案審査基準」の第I部 第2章 第3節 拒絶理由通知の「3.2.1 「最後の拒絶理由通知」と する 場合」によれば、いわゆる新規事項追加の拒絶理由通知は最後の拒絶理由通知にすることができます。※2
となると、自然に、追加した新規事項を削除する補正によって拒絶理由を解消することは不可能であり、詰んでしまうということです。
これって、制度不備じゃないですかね?
ただし、実際には運用で補正を受け入れてくれることがほとんどなので、よほどのことがなければ問題にはなりません。
あと、これも大事だけど、未だに「自明でないから新規事項」とか言ってくる審査官がいます。
自明であれば新たな技術的事項を導入しないものと言えるけど、自明でなかったからといって新たな技術的事項を導入するもの(つまり、新規事項追加)であるとは限らないと思うよ!
以下引用。
※1.Q9:審査段階で、特許請求の範囲の補正について、審査官から特許法第17条の2第3項(新規事項の追加)に違反すると指摘されたにもかかわらず放置したため拒絶査定を受けました。この事案について拒絶査定不服審判を請求する場合、審判請求時の補正で、その新規事項を削除する補正は、特許法第17条の2第5項各号に規定する要件を満たすことになるのでしょうか。
A9:審判請求時に新規事項の追加とされた発明特定事項を削除する補正をしても、通常、発明特定事項の削除は特許請求の範囲の拡張に該当するため、補正の目的要件(特§17の2⑤各号の要件)を満たさないものとされます。ただし、その記載のある請求項自体を削除する補正は可能です(特§17の2⑤一)。
※2.例 4:請求項に新規事項を追加する補正又は記載不備を生じるような補正がされた場合に、その旨のみを通知する拒絶理由通知
【関連記事】
「新規事項追加補正について審査基準の改訂」
↓クリックありがとうございます。
なお、直近の本室更新は「H27年短答試験問56」です。
↓弁理士試験ならLECオンライン
タイトルとURLをコピーしました
コメント