従来技術との相違点が無い

本日、本室の更新は「意匠法60条の3」です。
興味を持たれた方は、ご訪問下さい。
今日は打合せの話の続きです。
さて、前回は、明細書の流れに沿うように質問することと、初めに、従来・背景技術と解決課題を聞くことをお話しました。
ところで、従来・背景技術を聞いていると、「本発明との相違点が無い!」という場合があります。
これは、発明者が従来技術を拡大解釈している場合や、自社技術を従来技術と同等に考えている場合等があります。
これらの場合は、従来技術のうち、公知になっている技術について丁寧に確認し、相違点の有無をチェックします。
特に、構造的・プロセス的相違点があれば、そこには何らかの発明が存在しますので、その点を重点的にチェックします。
また、レアケースですが、発明者が公知技術と同じ発明を出願できると勘違いしている場合もあります。
この場合は、どうしようもないので、まずは出願しても権利を取ることができないことを分かりやすく説明します。
その上で、変形・改良・製品応用などの観点から、何か新しい構造を創作できないかを発明者に質問してみます。
それでも相違点が無く、しかも、出願を強く望んでいる場合は、後日国内優先権主張出願をすることを前提に明細書を作成します。
特に、文献公知ではない発売された製品が公知技術として存在する場合に、有効な方法です。
最後に、相違点がわずかであっても、弁理士が進歩性の認定をするのは避けるべきだと思います。
なぜなら、自分の判断が正しいとは限らないからです。
ただし、進歩性がないと判断した上で明細書を作成する場合は、何らかの落し所(進歩性がある構成)を明細書や従属クレームに追加しておく必要があります。
続きます。
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