ユニクロVSアスタリスクのセルフレジ特許で逆転理由を検証してみた

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特許法 独学 チワワ

ユニクロVSアスタリスク(+NIP)のセルフレジ特許(特許第6469758号)を巡る争いについて、無効審決の取消訴訟の判決文が公開されました。両社に争いがあることは、以下のようなニュースにもなっており、ご存知の方が多いと思います。
ユニクロ・GUセルフレジの「特許つぶし」にファストリが失敗、知財高裁で敗訴

業界人として興味があるのは、特許庁(無効審判)で進歩性がないとされた特許発明に対して、進歩性があるとされた逆転理由でしょう。なお、この後は再び特許庁(無効審判)の審理に戻りますので、別の論理付けで再び進歩性がない(無効)とされる可能性もあります。

本件発明1(訂正後請求項1)の構成

ざっくりですが、本件発明1は、①RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、②上向きに開口した筺体と、②筐体内に設けられ、アンテナを収容し、物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部とを備える、③据置式の読取装置、です。以下の図では、略U字状のシールド部44が上向きに開口しており、且つ筐体24内にシールド部44が設けられているのが特徴です。

特許第6469758号の図3より引用)


無効審判(無効2019-800041号)では、本件特許1を含む、請求項1,2,4に係る発明を甲1発明(US9245162)等に基づいて進歩性がないことを理由に無効とし、請求項3に係る発明を有効としました。

甲1発明(US9245162)の構成

ざっくりですが、甲1発明は、①不図示のアンテナと、②斜め上方に開口しているアクセス開口116が形成された3つの防壁108~112と、③防壁108~112内に設けられ、上向きに形成された挿入アパーチャ106と、不図示のアンテナを備える金属製の側壁204~210と、側壁204~210を取り囲む外壁212と、外壁212と側壁204~210との間に配置される吸収性発泡体214とを備える読取り/書込みモジュール200と、を備える、セルフサービス式会計端末、です。

US9245162の図1,2から引用)

逆転理由

端的に言えば、特許庁は、甲1発明の側壁204~210が本件発明1のシールド部であると認定しました。その結果、甲1発明の読取り/書込みモジュール200が、本件発明1の読取装置に対応すると認定されました。一方、知財高裁は、甲1発明の防壁108~112が本件発明1のシールド部であると認定しました。その結果、甲1発明のセルフサービス式会計端末が、本件発明1の読取装置に対応すると認定されました。これにより、審決と判決とで判断が分かれることになりました。

この点、甲1発明には防壁108~112があるので、読取り/書込みモジュール200にシールド部は必要なく、側壁204~210は読み取り用の壁であるとする解釈は理解できる認定であります。また、本件発明1において、シールド部と筐体の側壁とを兼用させることはないという認定もされており、これは技術的な回避が容易になったとも考えられます。

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