世界特許についての私見
なお、本日の本室更新は「改正商標法45条」です。
先日世界特許について触れたので、
この機会に、特許事務所の視点から、
自分の考えをまとめようと思う。
現状、審査結果の世界的共有、
つまり、特許ハイウェイによる特許網の設定は確実だと予想される。
一方、先日のコメントにもあったように、
世界で同じ効力を発生する特許権の成立は、
まだまだ先の話であろう。
ということは、1つの国で特許を取れれば、
世界各国で、それぞれの国に応じた効力を持つ特許権が発生する。
とりあえずは、これが私の想定する「世界特許」である。
さて、一歩進んで、
この「世界特許」の問題点はなんであろうか?
まず思いつくのは、外内出願の中間処理の消滅である。
内内出願がメインの事務所は問題ないが、
外内メインの事務所にとっては、大きなダメージである。
ただし、この問題については、
日本国での審査が実質的に無くなることに起因して
外内出願の増加すれば、相殺される可能性がある。
無いとは思うが、
出願手数料の引き上げでも対応可能だ。
ただ、顧客を失う危険性のある手段なので、
どうするか?
また、内外出願の仲介業務が無くなるおそれがある。
例えば、出願人が自ら(翻訳会社に依頼して)翻訳し、
それを直接、海外の代理人に出願依頼すれば良くなる。
これにより、出願費用やそれにかかる期間を大きく削減可能だ。
出願人にはメリットが大きいが、
特許事務所にとっては、仕事が減る結果となる。
ざっと、こんなところだろうか。
まとめると、世界特許の実現により、
弁理士の仕事が減る可能性があるということだ。
ただし、内内メインの事務所にはほとんど影響ないだろう。
さて、弁理士の大幅増員とのダブルパンチで、
致命傷にならなければ良いのだが・・・。
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コメント
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>ということは、1つの国で特許を取れれば、
>世界各国で、それぞれの国に応じた効力を持つ特許権が発生する。
これもほほ不可能じゃないでしょうか。少なくとも、EPOのような集中的に出願を審査する世界特許庁(審査官は各国から選出)を作らないと審査の中立性が疑われてしまいますよね。
世界特許庁ができるなら、国数のボリュームがなくなるものの特許事務所の仕事は大きく減らないですよね。
ちなみに米国をはずして、例えば日本、欧州、中国、韓国くらいだったらひょっとして広域特許庁の設立に、実現可能性あるかもしれませんね。でも、出願言語は譲歩しないといけないかな(英語、フランス語、中国語)。
米国を入れたら絶対実現しませんよ。あの国はかたくなに自分のシステムが一番だと信じていますから。
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> これもほほ不可能じゃないでしょうか。少なくとも、EPOのような集中的に出願を審査する世界特許庁(審査官は各国から選出)を作らないと審査の中立性が疑われてしまいますよね。
言葉が足りなかったようです。
すみません。
正確にはある程度の審査能力が認められる国同士が、
互いに審査結果を共有するという想定です。
なお、そもそも他国での審査結果を信用できない
(他国の審査では中立性がない)
というお話でしたら、私の考えとは異なる見解ですね。
> 米国を入れたら絶対実現しませんよ。あの国はかたくなに自分のシステムが一番だと信じていますから。
確かにかたくなな国ですね(笑)。
ただ、米国を無視して世界的な共通規則のようなものができれば、
いかに世界のアメリカ様といえども、
逆らうわけにはいかなくなるのではないかと予想しています。