特184条の17に関し、翻訳文提出前の審査請求はその後に翻訳文が提出されても不適法であることが判示された事例

令和6年(行ウ)第5001号「処分取消請求事件」

外国語特許出願は、翻訳文並びに国内書面の提出、及び手数料の納付をした後でなければ審査請求できません(特184条の17)。
この事件では、翻訳文提出前の審査請求は、その後に適法に翻訳文が提出されても却下されることが確認されました。

手続の経緯

2019年12月27日:ドイツにて国際特許出願
2022年06月24日:国内書面を提出して審査請求
2022年08月24日:翻訳文を提出(翻訳文提出特例期間内)
2022年12月27日:出願審査請求期間の満了
2023年04月04日:審査請求の却下理由を通知
2023年10月20日:審査請求の却下

当事者の主張及び反論

本件は、
①翻訳文の提出前に国内書面の提出及び審査請求を行い、
②審査請求後の翻訳文提出特例期間内に翻訳文を提出し、
③国際出願日から3年を経過した後で、翻訳文提出前であったことを理由に審査請求が不適法として却下された、事例です。

原告は、翻訳文提出によって瑕疵が治癒されたので不適法ではない等と主張しましたが、認められませんでした。

判決

東京地裁は、以下のように判示しました。
外国語特許出願についての出願審査の請求を行う前に、翻訳文を特許庁長官に提出していない場合には、特184条の17の要件についての瑕疵が治癒される余地はない。
仮に出願審査の請求に係る手続を不適法として却下する処分が取り消されたとしても、出願審査の請求に係る手続は不適法として却下を免れない。

終わりに

審査請求の期間が制限されている趣旨は、出願が日本に手続的に確定している必要があるためです。その点で、審査請求後に翻訳文が提出されたとしても、事後的に出願が日本に手続的に確定するので、審査請求を却下しなくともよいように思います。しかし、条文通りの処理がされて、却下されてしまいました。

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