PPAP騒動で見た一見正しそうな話

PPAP騒動で見た一見正しそうな話
「PPAP等の大量勝手商標出願問題について整理してみる」(栗原潔の記事一蘭)
PPAP騒動で見た、一見正しそうな話について解説します。
全体的には、「PPAP」の文字(タイトル)と著作物としての楽曲との混同と、楽曲のタイトルと商標との混同が多かった気がします。
なお、商4条1項11号(拒絶理由となる)は、他人の登録商標との関係を規定しているので、「条文上」は登録されないB社の商標登録出願を無視して後願を登録することが可能です。
ただし、商46条1項1号で商8条1項が無効理由に挙げられているので、形式的には無効理由を包含したまま登録されることになります。
商29条があるので、仮に商標登録されてもピコ太郎さんは「PPAP」を自由に使用できるよ。
→まず、「PPAP」というタイトルだけでは著作物に該当しないと思います。
そもそも、商29条は商標権者が使用できない場合を定めているので、これによりピコ太郎さんが自由に商標を使用できるわけではありません。
ただし、曲のタイトルは商標的使用には該当しないため、ピコ太郎さんはタイトルとしてなら「PPAP」を自由に使用できます(商26条1項6号)。
とはいえ、仮にB社が商標登録を受けた場合、ピコ太郎さんは、商標として「PPAP」を使用することはできなくなります(例えばPPAPブランドで他の曲を販売するとか)。
なお、「ペンパイナッポーアッポーペン」のフレーズが著作物に該当すれば、ピコ太郎さんがこれを歌う(実演する)ことは自由です(ただし、この場合も商標的使用には該当しない)。
商29条があるので、B社は差止や損害賠償請求できないよ。
→商29条は商標権者が使用できない場合を定めているだけなので、それと差止や損害賠償請求とは直接関係はないです。
ただし、曲のタイトルの使用及び歌謡曲の実演は、商標的使用に該当しないので(短いCMソングは別として)、商標権に基づいて差止や損害賠償請求されることはありません。
「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」はギャグだから、商3条1項6号により識別力がないよ。
→PPとかAP(ローマ字で2文字)なら「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」なので、商3条1項5号で識別力がないと判断されることもあるでしょうが、ギャグだからといって識別力がないわけではないです。
なお、「PPAP」の曲が仮に音商標として出願された場合は、歌謡曲(楽曲)としてのみ認識されるので、商3条1項6号により識別力がないと判断されることもあります。
商標登録されたら曲のタイトルとしても使えないし、歌えなくなるよ。
→そもそも、曲のタイトルの使用及び歌謡曲の実演は、商標的使用に該当しないので、商標権に基づいて差し止められることはありません(短いCMソングは別として)。
「PPAP」はピコ太郎さんの著作物だから、商標登録されないよ。
→仮に「PPAP」の文字列が著作物であったとしても、著作物であることは、商標登録の拒絶理由にはなっておりませんので、それのみで拒絶されることはないです。
ただし、公正な取引秩序の維持の観点からみて、他人の営業努力等の結果にタダ乗りするような商標登録出願は、商4条1項7号により拒絶されることがあります(例えば、ターザン事件)。
なお、この際、著名であると拒絶される可能性が高まりますが、必ずしも日本国内で著名であることは要しません。
商4条1項10号により拒絶されるので、ピコ太郎さん以外が出願しても登録されないよ。
→商4条1項10号は、他人の業務に係る商品若しくは役務と類似することを要するので、無関係の商品若しくは役務であれば登録されます。
なお、商標が周知である必要もありますが、商標登録出願時では「PPAP」が周知であったと思われます。
先使用権(商32条)があるので、仮に商標登録されてもピコ太郎さんは「PPAP」を自由に使用できるよ。
→まず、「PPAP」という曲のタイトルだけでは商標に該当しないと思います。
そして、仮にB社が商標登録を受けた場合、ピコ太郎さんが使用していない範囲(例えば洋服とか?)では、商標として「PPAP」を使用できなくなります。
なお、曲のタイトルは商標的使用には該当しないため、ピコ太郎さんはタイトルとしてなら「PPAP」を自由に使用できます(商26条1項6号)。
エイベックスの商標登録出願は拒絶されないよ。
→一応、商4条1項11号違反の拒絶理由が通知されます(待ち通知で足りるのに、なんで拒絶理由を通知するんだろう?)。
つまり、出願却下されるまで(最近では出願から10月程度みたいですね)は、タイムラグがありますので、その間に審査が進めば拒絶理由が通知されます。
でも、応答期間中にB社の出願が手数料未払いで却下されるので、拒絶理由が解消します。
※2/3追記:拒絶理由通知書の作成までの期間が通常の所要期間を徒過していた、又は不当に長期であった(法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされない)場合、義務付けの訴えを提起することができます(行政事件訴訟法37条の3第1項第1号)。
そのため、通常の審査期間内に拒絶理由を通知する必要がありそうですので、これを通知する特許庁としては致し方ないですね。

B社は分割出願をしてくるから、エイベックスの商標登録出願は登録されないよ。
→登録されます。
ただし、B社の出願が手数料未払いで却下されるので、拒絶理由が解消して商標登録されます。
なお、B社の分割出願は、遡及効が認められないものがほとんどです。
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