ニュース-サトウVS越後製菓の虚偽主張が酷い件

サトウVS越後製菓の虚偽主張が酷い件
平成24年(ワ)第12351号:平成27年4月10日判決言渡
「損害賠償等請求事件」
サトウVS越後製菓の切り餅第2事件ですが、佐藤食品の主張が全否定されています。
構成要件の充足性と、無効論についてはしょうがないとして、問題は先使用の抗弁です。
本件は前訴においても、虚偽の主張(証拠の偽造)が裁判官に著しい悪印象を与え、
それが訴訟の結果に大きく影響したとの見解がありました。
今回の判決を読む限り、佐藤食品に厳しい結果となったのは致し方ないかなぁと思えます。
佐藤食品は、遅くとも平成14年8月8日ないし同月26日の時点で本件特許出願に係る発明を完成させ、本件出願の際、現に日本国内において発明の実施である事業を行い、少なくとも発明の実施である事業の準備をしていた(先使用権を有する)と主張しました。
しかし、これが虚偽の主張(正確には信用できない主張)であるとして、
全否定されています・・・というよりも、判決文から裁判官のいら立ちが伝わってきそうな程です。
例えば、イトーヨーカ堂へ提案したプレゼンの提案書を保存していないのは著しく不自然である
とか、
イトーヨーカドーで販売されたものであるとする餅は、適切な保管がされて然るべきであるにもかかわらず管理状況も定かではなく,しかも,サイドスリットのないものを保管する方が合理的であると考えられるにもかかわらず,そのような事実が一切認められない
とか、
個包装に注意書きと図面を入れた理由が,「お客様が餅に切り込みが入っていることを不審に思うといけない」というのであるから,サイドスリットが図面に記載されていないならば,消費者は,サイドスリットが入っていることに疑念を抱くというべきであるところ,消費者からのそのようなクレームは存在していないから,実際は,個包装の中にサイドスリットが入った餅が入っていたとは考えられない
とか、
(サイドスリットを)中止した理由について,細菌が切り込みの部分に入るという衛生面の問題があった旨証言しているが,中止の理由が衛生面にあったとするならば大問題であり,消費者に注意を呼びかける等の処置を講じ,商品を回収するべきであるところ,そのような事実は一切存在せず,秘密裏に販売を中止したというのであれば,それこそ,食品製造会社としての責任を問われることになりかねないのであるから,口頭で了承を得たにとどまるとの証拠は到底信用することができない
とか、
被告の主張を前提とするならば,スリットを入れたことの効果が不十分な製品を,それと知りながら流通させていたことになる。そして,中止に至るまでの間,サイドスリットを中止しても所与の効果を達成することのできる改良が模索された旨の検討結果は一切提出されていないのは,極めて不自然というほかない。
とか、
「こんがりうまカット」にサイドスリットが入っていたとするならば,被告第2特許出願は自ら行った公然実施により無効理由を包含することになる。そもそも公然実施によって特許が新規性を欠如する点は,特許法の基礎的な知識であって,仮にも食品製造会社において特許出願を担当していた者がその点に思い至らないなどということはおよそ考えられない
 ↑いや、これは考えられるけどね。
などなど。
これはちょっと酷いね。
勝つのは無理だわ。
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