江角印の便利なお洗濯グッズ

江角印の便利なお洗濯グッズ
江角マキコさんが実用新案登録(実登3151404)を取得したそうだ。
ちなみに、商品販売も始まったようです。
江角マキコ 『江角印 いろいろ便利なお洗濯グッズ』発売
これを見て、自分だったらこの実案をどうするか検討してみた。
『わたし気になります!』ってことで。
なお、1時間程度の検討なので未熟さには目をつぶって欲しい。
まず、請求項1の内容は以下の通り。
『「T」の形をしたカーテンレールランナーに、吊り金でハサミ具を吊り下げて構成される簡易取付具付きハサミ具であって、これまで日中使用しなかったカーテンレールを使って、大きな洗濯物、例えば寝具のシーツなど大きなものを部屋の中で生活空間を確保しつつ乾か事ができる簡易取付具付きハサミ具。』
ちょっと調べてみたところ、関連しそうな先行文献は以下の通り。
文献1.実登3021840
文献2.実登3048680
文献3.特開2008-093389
文献4.特開2003-117294
うーん。
これだと、権利行使しようとしても「評価2(実3条2項の要件不備)」が出そうだな。
つまり、進歩性がない(きわめて容易に考案をすることができた)と判断されそうだ。
具体的に実登3151404の請求項1に係る考案(以下本考案)を分解してみると、
イ.Tの形をしたカーテンレールランナーに、
ロ.吊り金でハサミ具を吊り下げて構成される簡易取付具付きハサミ具であって、
ハ.(これまで日中使用しなかった)カーテンレールを使って、
ニ.大きな洗濯物(例えば寝具のシーツなど大きなもの)を部屋の中で生活空間を確保しつつ乾か事ができる
ホ.簡易取付具付きハサミ具。
となる。
一方、文献1には、
イ.カーテンレールランナに取り付け可能なL字状部材50に、
ロ.上部吊り下げ部32でクリップ部30を吊り下げて構成されるカーテン取付け具であって、
ハ.カーテンレールを使って、
ニ.カーテンを吊り下げる事ができる
ホ.カーテン取付け具
が開示されている。
そして、文献1と本考案との相違点は、
相違点1.本考案が「Tの形をしたカーテンレールランナー」を有するのに対し、文献1では「カーテンレールランナー」について無言である点。
相違点2.本考案が寝具のシーツなどの「洗濯物」を吊り下げるのに対し、文献1では「カーテン」を吊り下げる点。
この内、相違点2については、文献1のカーテン取付け具を用いて洗濯物を干すことはきわめて容易に想到し得るだろう。
すなわち、一般に洗濯したカーテンを干す場合には、カーテンレールで干すことが行われており、カーテン取付け具に洗濯物としてのカーテンを吊り下げることは当然に予定されているといえる。
そして、洗濯したカーテンと本考案の洗濯物である寝具のシーツとは、洗濯物という点で共通する。
したがって、文献1のカーテン取付け具に洗濯物を干すことは、きわめて容易に想到し得る。
また、相違点1については、文献2に「Tの形をしたレール用のコマ3(カーテンレールランナー)にハンガー本体7を吊り下げて構成される専用物干ハンガー」が開示されている(図2等)。
ここで、文献1のカーテンレールランナとして、文献2のTの形をしたカーテンレールランナー3を用いることはきわめて容易に想到し得るだろう。
すなわち、文献1において、カーテンレールランナの形状をTの形以外のものに限定する理由は存在せず、むしろTの形を含む種々の形状のカーテンレールランナを採用し得ると考えるのが自然である。
また、文献1及び文献2は、いずれもカーテンレール状のものに物を吊り下げるための用具という点で共通しており、文献1に文献2を適用することはきわめて容易である。
したがって、文献1のカーテン取付け具に文献2のTの形をしたカーテンレールランナーを適用することにより、本考案のTの形をしたカーテンレールランナーはきわめて容易に想到し得る。
なお、カーテンレールに吊り下げるタイプの物干し用具は文献3又は文献4等にも開示されており、文献2のカーテンレール状物干竿をカーテンレールに置き換えて文献1に適用することもきわめて容易である。
さらに、本考案が奏する作用効果、すなわち、「寝具のシーツや、大きなタオル等などのものは、ベランダにある干し竿、もしくはベランダに直接干したり、ベランダがない場合は、部屋の中の椅子などに掛けて干す事が多かった。その為、洗濯物が風で飛ばされて捲れたり、ホコリがついて汚れるケースが多々あったが、本考案を利用する事により窓辺を有効利用し室内で清潔に干す事が可能になりそれらの問題を解決できる。また晴天利用時には窓からの日差しで乾燥が早まる利点がある。冬でも室内の窓辺で大きな洗濯物が乾かす事ができる。」という作用効果は、文献1乃至4から予測でき、格別のものとは思えない。
よって、本考案は、文献1乃至4からみて進歩性がない(きわめて容易に考案し得る)と考える。
こうなると、本来なら補正したいところだけど・・・
出願日から3年経過しているので、実用新案登録に基づく特許出願(及びその後の補正)はできない。
というわけで、現状では進歩性がないことを承知した上で放置の一手しかないか。
とはいえ、権利行使したい場合も考えられる。
その場合は実用新案技術評価の請求をした上で必要なら訂正か・・・
仮に訂正するとなると何ができるのか?

・・
・・・厳しそうだけど、段落0007及び図1,2の記載に基づいて「カーテンレールランナーは、当該カーテンレールランナーの幅がカーテンレールのレール部分の溝の幅よりも短くなるように、且つ当該カーテンレールランナーを90°回転させたときの長さがカーテンレールのレール部分の溝の幅よりも長くなるように構成されている」と限定するか?
これによる効果は「スムーズ且つ容易な脱着が可能となる」でどうだろう。
正直、カーテンレールとの比較で定義したくはないのだが、いかんせん記載量がすく(以下略)。
ところで、江角印の部屋干しばさみ
ランナー部分がT字状じゃないように見えるのは・・・私だけ??
(むしろV字状じゃないか?)
あと、江角印の部屋干しハンガーは株式会社オーエさんの特開2010-029243ではないかと。
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