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R01年短答著作不競問04
著作者人格権に関し、次のうち、最も不適切なものは、どれか。
枝1
1 論文Aの中で、他人の論文Bから同一の文章を2回引用する場合、1回目の引用箇所に対して著作者氏名を表示しないことは、当該引用箇所から離れたページにおいて、2回目の引用を行った上で著作者氏名を正しく表示したとしても、氏名表示権の侵害となり得る。
解答
◯ 引用は、公正な慣行に合致するものであることを要する(著作32条1項)。そのため、離れたページに著作者氏名を正しく表示したとしても、氏名表示権の侵害となることは否定できない。
枝2
2 著作者が、写真の著作物を芸術写真の専門誌で公表した後に、その著作者の意に反して他人が一般の書籍でその写真を公表した場合、公表権の侵害となる。
解答
✕ 公表権は、公表されていない自分の著作物について、それを「公表するかしないかを決定できる権利」である(著作権テキスト 2019年度 第13頁)。したがって、既に公表されている写真に公表権は及ばない。
枝3
3 共同著作物の各著作者は、著作者人格権の行使に関する合意の成立を、嫌がらせのために妨げることは許されない。
解答
○ 共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない(著作64条1項)。しかし、共同著作物の各著作者は、信義に反して合意の成立を妨げることができない(著作64条2項)。したがって、嫌がらせのために妨げることは許されない。
枝4
4 ある著作物の特定の利用行為が、著作者の社会的・外部的な評価の低下をもたらす場合、当該著作者の著作者人格権の侵害とみなされる。
解答
◯ 著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなされる(著作113条11項)。
枝5
5 著作物である庭園に、災害対策のために必要な避難路を設置して改変を行うことは、著作者の同意がなくとも、必ずしも同一性保持権の侵害とはならない。
解答
◯ 庭園を著作物と認める場合には、著作20条2項2号の規定を類推適用できるが、改変が著作者との関係で信義に反すると認められる特段の事情がある場合はこの限りではない(H25(ヨ)20003)。この点、災害対策のために必要な避難路の設置は、信義に反するものではなく、必ずしも同一性保持権の侵害とはならない。
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