譲渡の申し出の認定
・「違約金請求事件」(平成20(ワ)11245)
これは、珍しい判例かな?
和解が成立した原告・被告の間で、
被告が和解条項に反して、特許の実施を行ったか否かが争われた事件。
私が注目したのは、「譲渡の申し出」に該当するか否かの判断です。
裁判所の認定によれば、被告は、
和解前に試作品として製造されたネックレス(特許商品)について、
被告のウェブサイトに『「この商品は特許商品です」、「装身具用銀合金および装身具特許取得」などと説明した上、「実物と写真では印象が異なる場合があります。何卒ご了承ください。」、「お電話でのお問い合わせはこちら<電話番号省略>」、「メールでのお問い合わせはこちら」などと掲載していた』〔引用ママ〕
という。
しかし、裁判所は、
上記行為は、被告ホームページの見栄えをよくするために、
試作品としての特許商品を、「参考商品」と明記して掲載したものであり、
本件ネックレスは、各1本ずつ程度しか被告の下に現存していなかったこと、
そして、それらは製造から既に10年近くを経過していたため、
顧客に販売するのに適した状態にはなかったこと、
さらに、原告が,被告の取引先等を広範囲に調査したにもかかわらず、
特許商品が取引された事実を確認することができなかったこと、
を挙げて、
特許商品を販売(譲渡)するために本件掲載を行ったものと認めることは困難である。
と判断しました。
すごい疑問があるんだけど・・・
この事例って、
明らかに、販売(譲渡)を行う目的で、
特許商品を参考商品として掲載しているわけだよね?
(もちろん、『参考』に過ぎないとも理解できるが・・・)
で、注文がなかったのは事実だとしても、
製造能力はあったわけだし、
これで「譲渡の申し出」に当らないのであれば、
事実上、実際の製造を伴わない譲渡の申し出は、
(つまり、在庫のない譲渡の申し出は)
特許法上の「譲渡の申し出」に当らないことにならないか?
それとも、「参考」って付ければ、それで良いの???
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なお、本日の本室更新は「H22短答試験問59」です。
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