ニュース-先使用権の拡大

先使用権の拡大
なお、本日の本室更新は「お休み」です。
日本企業の「知」の流出を防ぐ新たな制度設計(日経BP知財Awareness)
筆者が提唱する新制度を要約すると、
他人の特許の公開前に、
自ら同じ発明を完成させていた者には、
通常実施権を与えるというものだ。
一言で言うなら、先使用権の拡大であろうか?
ただし、実際の使用を前提としないようなので、
広義の使用意思があれば良いということになろう。
不使用の先発明に対する実施権の付与というのであれば、
一考には値するが、
所定期間の非公開を請求できる秘密出願制度を導入した方が、
正直、よっぽどましな気がする。
結局、発明情報の国外流出が問題なのだから、
公開時期を出願人に選択させれば済むのではなかろうか?
この場合、特39条(先願)により拒絶される後願が問題となるが、
完全同一など、実際は稀なケースだから、
後出願人に待ち通知をすれば事足りる。
大体、後発明者に実施権を与えるなんて制度は、
発明者の心情的に受け入れられないだろう。
不知=善意=正義よって、不知=正義という論理には、
飛躍がありすぎるのでは・・・?
ところで、新制度ができたとすれば、
早期公開制度の利用率が急上昇するだろう。
出願後に自社公開しても過失推定がないので、
この手段しかない気がする。
早期公開により、産業の発達には寄与するかもしれないが、
結局、全体的な公開時期が早まることで、
発明情報の国外流出が加速するのは想像容易である。
もちろん、自社実施確実な重要基礎発明は、
優先的に早期公開=国外流出することになる。
なお、日本での出願後1年半前に同一発明を完成させた、
2番手、3番手の発明者と言われる者に、
外国発明者が含まれるのは当然だ。
これにより、開発完了が日本企業より1年半も遅れても、
日本での製造販売権を確保することが可能になるので、
彼らにとっても、嬉しい制度改正と言えるのかもしれない。
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