ホーム › フォーラム › 知財担当の疑問に答えるフォーラム › 美味しいという効果について(特許第3639902号)
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- Nakagakiゲスト
先生こんにちは!
特許による効果の記載について質問があります。
特許第3639902号では、段落0007に以下のような記載がありました。
この場合、進歩性の判断で考慮される効果は、
(i)「前記プロテアーゼの作用により身が柔らかく食味、食感に優れ」という部分であり、(ii)「美味しい」という部分は客観的な効果ではないから進歩性の判断で考慮されないという理解で正しいでしょうか?【0007】
すなわち、本発明の請求項1記載の〆鯖は表皮を真皮から剥皮するのが困難な北大西洋産などの鯖を酢〆前にプロテアーゼを添加した処理液を用いて処理した後、表皮を真皮から剥皮して製造された〆鯖であって、真皮に剥皮傷がなく、鯖特有の縞模様と色を有する真皮を備え、前記プロテアーゼの作用により身が柔らかく食味、食感に優れ美味しいことを特徴とする。ドクガクキーマスターはい、こんにちは
さて、何らの根拠もなく「美味しい」という効果が官能試験の結果として示されたとしても、それが単独で進歩性に寄与する「引用発明と比較した有利な効果」と判断される可能性は低いと思われます。しかし、「身が柔らかい」という効果が生じるとしても、「美味しい」という効果が生じない場合、すなわち従来の〆鯖と比較して人間が区別できない程度の柔らかさの差に留まる場合には、引用発明と比較した有利な効果とは判断されないと思われます。
従いまして、「美味しい」という部分と、「身が柔らかい」という部分とは、一体として進歩性の判断で考慮されるものであると考えます。
Nakagakiゲストすみません。追加で質問させてください。
質問の発端は、(i)発明といえるためには結果(効果)に対するある程度の再現性が必要と考えますが、(ii)官能試験の結果には再現性が無い場合が多いのではないかと考えたことです。
特にグループ会社の従業員を使った場合は、流行りの「優越的地位の濫用」がなされ、肯定的な評価が多くなると考えられます。一方、利害関係の無い者を使った官能試験では、否定的な評価が多くなる場合も考えられます。
このように、官能試験には信頼性が低いと考えますが、
現状では、官能試験の結果も進歩性が肯定的に判断される際の材料と考えてよろしいでしょうか?ドクガクキーマスター官能試験の結果には再現性が無いという点は誤解があります。確かに、そのような疑義が生じる場合はありますが、例えば、100人のパネリストが「美味しい10点」と評価ししたことを基準として、それを「美味しい5点」と評価したパネリストの評点を2倍にすれば、客観性を保つことは可能です。
また「優越的地位の濫用」については、特許法上は考慮されません。確かに、官能試験には信頼性が低いのですが、官能試験の結果で進歩性が肯定的に判断されます。
個人的な見解ですが、現在の日本においては、特許の成立を推進して、その無効化を第三者の負担としているように思われます。なお、個別具体的なご質問があれば、「uchidaアットcentral-pat.com」の内田宛にお寄せ下さい。
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