重大ニュース-個人発明家が独力でアップルに勝っていた件

個人発明家が独力でアップルに勝っていた件
「iPod」特許訴訟、アップル側の賠償確定 最高裁(日経電子版)
先日話題になったアップルVS個人発明家の事件は、
パテントトロール的な弁護士が参謀になってアップルにケンカを売ったと思っていた。
ところが、出願経過を追ってみて、・・・正直驚いた。
ガチに個人発明家が独力で戦っていたみたいで(訴訟は別としても)、出願手続きが非常に雑である。
少なくとも、権利化段階では発明家が独力でやっているように思われる。
例えば、本件では、拒絶理由が通知される前にも関わらず、
なぜか意見書を提出しており(※上申書と勘違いした模様)、
「拒絶理由通知等の発送がありません」として手続却下されている。
また、この却下された意見書では、アップルのiPodを挙げて、これを商業的な成功であると主張しているので、
この時点から齋藤氏は、アップルを標的としていたものようだ。※1
ちなみに、本件のファミリーは以下の通り。
   親出願(特開平11-194872)←株式会社ポセイドンテクニカルシステムズ←拒絶査定
本件→子出願(特許第3852854号)←株式会社齋藤繁建築研究所←平成18年9月15日登録
   子出願(特開2006-099791)←株式会社齋藤繁建築研究所←未審査請求
   孫出願(特開2006-178962)←株式会社齋藤繁建築研究所←応答せず拒絶査定
なお、本件も当初は本人出願であったが、
遅くとも平成17年11月8日には、日比谷パーク法律事務所の弁護士が代理人となっている。
また、こういう場合には複数の出願で固めるのが常道であるにも拘わらず、※2
応答せずに拒絶査定となった孫出願がある。
これは、金銭的な理由で権利化を断念したのではなかろうか。
例えば、以下の記事では、齋藤氏が
『お金には苦労しています。 私は専業の発明家なもので、大学の研究者と違って、研究費や給料をもらえるわけではありません。 ここ数年は、アップルの件で膨大な作業を強いられて身動きが取れず、発明の仕事に専念できません。 アップルは世界中でiPodを売って大儲けしているのでしょうが、こっちはサンマと(国内たばこで最も安価な)ゴールデンバットですよ。 それも吸えなくなって、お蔭で禁煙できましたけどね(笑)』
と発言している。
発明家・齋藤憲彦 対アップル戦争に勝つ(月刊テーミスWEBサイト)
それにしても、アップルの超優秀な弁護団を相手にとって
3億3千万円を獲得したというのは、本当に驚きだ。
※1.なお、発明家齋藤憲彦氏のブログでは、以下のように述べている。
『私はとりあえずアップルジャパンに連絡をとってみることにした。
あれはたしか平成15年クリスマスの少し前の事である。』(「創造せよっ!」より抜粋して引用)
※2.齋藤氏もTwitterで、
『複数特許出願でまわり固めないと、使い物になんない』
と指摘している。(抜粋して引用)
【関連記事】
「アップルが個人発明家に敗訴」
↓クリックありがとうございます。
にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ

なお、直近の本室更新は「H27年短答試験問41」です。
↓弁理士試験ならLECオンライン

コメント

  1. ハデパテ より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    上申書の代わりに意見書を提出することがあります(例えば、特願2011-229275参照。)。

  2. ドクガク より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    確かにありましたね。
    これは恥ずかしい!

タイトルとURLをコピーしました